注目の抗ガン漢方ーカイジ(槐耳) [漢方薬のいろいろ]

カイジというキノコは、日本では今まであまり耳にしたことがありません。中国の古い医学書にカイジの効能の記載がありますが、老齢の槐の木が希少なため、漢方界からは忘れられた存在になっていました。ところが20年以上前ですが、ある末期原発性肝臓ガンの患者さんが、老齢エンジュに寄生するカイジを長期間服用することで、思いがけなくガンが完治しました。中国の衛生部はその実例を端緒として、カイジの研究をスタートさせました。

 100人以上の研究者によって、自然のカイジと人工培養のカイジについて薬理作用、毒性作用、基礎試験、臨床試験が実施され、1992年中国衛生部(日本の厚生労働省にあたる)新薬審理委員会にて、国家Ⅰ類漢方抗ガン新薬に認証されました。そして日本に渡ったのはまだ最近の2004年のことです。

 カイジの主な活性成分は「PS-T」という多糖たんぱくです。他に二十種ほどのミネラルの含有も認められています。カイジのガンに対する作用は、下記のようなものがわかっています。

①アポトーシス

 細胞は自らの寿命を全うすると自然に死んでいきます。(アポトーシス) ところが、ガン細胞はこの自然のプログラムが異常になり、悪性の細胞が延々と増殖を繰り返し増えていくので困るわけです。しかし、ガン細胞にもアポトーシスを起こす能力がまったくないわけではありません。カイジはガン細胞のアポトーシスを誘発することがわかっています。

②腫瘍抑制効果

 マウスを使った動物実験で、腫瘍を抑制する効果が判明しています。

③免疫賦活作用

 ガン細胞に対抗する免疫細胞であるマクロファージ、NK細胞を活性化させます。

④新生血管抑制作用

 ガン細胞も増殖するためには栄養が欲しいので、自分専用の血管を作ろうとします。新たに作られた血管のことを新生血管と呼びます。カイジには、ガン細胞が新生血管を作ることを抑制する働きがあります。

⑤抗ガン剤・放射線治療による副作用の軽減および効果の増強
 ガン治療で多用される抗ガン剤や放射線による人体へのダメージを軽減し、かつそれらの効果が増すよう免疫レベルが調整されます。

 中国では、カイジは主として肝臓ガンなどの消化器系のガンに使用され、良好な結果を得ているようです。カイジ研究およびガンの中西医結合(西洋医学と中国医学を統合的に用いる)治療の第一人者 劉魯明教授(中国上海 復旦大学附属腫瘍病院 国際統合医療がんセンター)も、肝臓ガンにカイジを投与しています。手術後の再発・転移予防、抗ガン剤・放射線との併用療法、進行・末期肝臓ガンへの漢方療法において、貴重な抗ガン漢方として位置づけられておられます。
タグ:カイジ
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